カタンの交渉


 カタンは交渉によって資源カードを交換することができます。
 このルールは、他の交渉系ゲーム(モノポリーやディプロマシー)に比べると
 交渉にかかる比重は軽めに設定されております。
 が、交渉というルールがある以上、それが大事であることに
 変わりはありません。

 ここでは、カタンに必要な交渉力を磨くための
 お話をしてみたいと思います。
 尚、これは私(娯楽堂)が実際にゲームを通して学んだことですので、
 これを読まれた方の感覚とは誤差が生じる可能性もありますが、
 その点はご容赦いただけますよう、よろしくお願いします。




・産出された資源を記憶する。

 「麦出しますので、土ください」
 なんて交渉はありがちですが、土が産出されて
 なければ、もらえる可能性なんてありませんし、時間の無駄です。
 また、こういうことを言い出すってことは、
 『この人は産出された資源も記憶できない素人』との
 烙印を押され、ゲーム中ずっと格下に見られます。
 格下に見られると、マークはされなくて済みますが、
 ナメた交渉の餌食になる可能性は否めません。
 また、相手から格下に見られるということは、
 相手に心理的な余裕を与えることになります。
 敢えてマークを外しておいて隙を突くという戦法も
 ありますが、心理的余裕があるということは、
 それだけ視野が広くなっておりますので、
 成功の可能性はかなり薄いでしょうね。

 もっと短気なプレイヤーの場合、
 「土なんてこの世の中にゃ無ぇよ!」
 くらいは言われます。
 誰が何の資源を持っているかを覚えておくことは、
 カタンでは交渉の初歩になります。
 

・交渉を申し込むときの注意

 自分が不足している資源を貰う場合、
 その対価を払うわけですが、ここに相場というものが
 常に絡んできます。
 自分の欲しい資源がレアである場合、
 交渉は2:1が基本になりますし、場合によっては
 3:1なんてこともあったりします。
 逆に自分が出す資源がレアな場合は、1:1でも
 成立する場合もありますが、
 基本的に交渉を申し込む場合は2:1で仕方ないと
 思っていたほうがいいでしょう。
 というのは、

 交渉をする⇒家や街を建てる⇒産出量が増える


 この流れになりますので、相手プレイヤーに
 渡す資源が多くても、後で取り返せることが多いのです。
 また、ここでケチって家や街を建てるタイミングが
 遅れると、それだけ資源の産出が遅れることになり、
 勝ち目はどんどん遠のいていきます。
 
 また、トップのプレイヤーを妨害するための開拓をする場合、
 そのことを公開した上で交渉をすることがあります。
 『トップの道をハネるんで、羊と土を交換してください』とか、
 『トップと騎士賞競りたいんで、カード買うために木と麦を交換してください』なんて。
 それで自分がトップに立たないことがわかっていれば、
 協力してくれるプレイヤーも出てきます。
 こうすることで、全員にチャンスが回ってくるわけですから。

 こうして交渉し、建設やカードを引いて手番終了するのですが、
 大きい発展をしたプレイヤーほど、点数が伸びているので盗賊に狙われやすくなります。
 そのときに備え、出来る限り手番終了時には手札を使い果たしておいた方が良いです。
 そうすれば、資源がもらえないなら盗賊を移動させないといった行為や、
 資源カードを持っているプレイヤーと隣接した土地に盗賊が移動し、
 結果的に自分への被害が軽減します。


・交渉を申し込まれたときの注意

 交渉を受ける行為は、基本的には不利になります。
 相手プレイヤーの発展をサポートすることになるのですから。
 ですが、交渉を受けませんと、自分が交渉を持ちかけたときに
 受けてもらえなくなります。
 そこで妥協点を見出さなくてはなりません。
 例えば、
 
 「木を出すので、羊をください」

 この申し出と、今までに相手が入手した資源から、
 相手が何を狙っているかを想像します。
 例えば、相手の狙いが家の建設だったとして、
 自分の手の内から羊が出せる状態であれば、
 相手の点数状況を確認します。
 相手が沈んでいる状態であり、自分がトップでなければ
 すんなり受けてあげましょう。
 また、木がよっぽどレアになっている場合も、
 そのまま受けてよいと思います。
 が、それ以外の場合は、条件の変更を求めるべきです。
 「木+鉄なら出ます」とか、「木2枚でいいですよ」
 なんて交渉へ持っていきましょう。
 相手も状況判断ができていれば、1:1の交渉には
 拘らない筈ですので、受諾される確率も高いですし、
 「木+麦でどうでしょう?」なんて提案に変更してくる
 場合も充分に考えられます。
 そうしたら、ここでお互いの妥協点を見出してくださいな。


 また、初心者によく見られるのですが、
 事前に鉄や麦を産出しておいて、

 「土を出すので、鉄をください」

 などと交渉を持ちかけるケースですけど、こういう交渉はまず成功しません。
 というのは、街を建てたいという意図がミエミエだからです。
 当然、他プレイヤーも足元を見てきます。
 2:1なら成功。通常は3:1くらいの交渉になります。
 それでも街は強いですから、どうしょうもなければ建てるべきだとは思いますが。
 私だったらこういう場合、他の資源を集めて4枚交換(港があればこちらを活用)して
 街を目指しますし、それが望めないようだったら、手札が7枚以下ならパスします。
 特に3:1港を持っている場合、相手に意図を読まれにくいので、すんなり
 交渉に応じてくれる可能性は高くなります。

 交渉を受ける場合に、相手から複数のカードを貰うのは良いのですが、
 そうやって資源を溜めて、バーストしている人をよく見かけます。
 これはかなり滑稽ですので、自分の手札枚数と相談しながら交渉をしていきましょう。


・交渉を断るとき

 相手からの交渉に対して、いい条件だから受けたいけど、
 受けたら自分の手番でやりたいことができなくなっちゃう。
 あるいは、いい条件だけど、肝心の相手が欲しい資源を持ってない。
 こんなとき、どう返答してますか?
 何も答えないってのも1つの答えだとは思うのですが、
 それもちょっとマナー悪そうですよね。
 かと言って、「出せません」とか「持ってません」では、
 自分の資源情報を公開しているようなもの。
 後者ならまだしも、前者の場合は交渉決裂後、ソルジャー使われて
 奪おうとするケースまであります。
 最悪のソルジャーの使い方ですし、美しくありませんよね。
 
 それではどう言って断るか、ですが、
 私は「ごめんなさい」って言います。
 これなら「出せなくてごめんなさい」か、「持ってなくてごめんなさい」か
 相手には伝わらず、それでいて交渉を拒否しておりますので。

 最も、カードカウンティングしているプレイヤーにはほぼ情報は
 持たれてしまってますので、どちらの意味かは想像ついちゃうんですがね。


・相手を限定した交渉

 トップに踊り出ると、まず交渉相手には指名されません。
 ですので、負けているプレイヤーが交渉を申し出る場合は、
 相手を限定した交渉をしなければなりません。
 そうしないと、トップ者が交渉相手になっていると考え、参加しようとしてきます。
 そして他プレイヤーが交渉に参加できない状態だと、トップと交渉をしなければ
 ならなくなってしまうのです(手札の情報を公開してしまったため)
 ですから、最初に交渉したい人を指名するのがマナーとなります。
 これは、自分の欲しい資源を持っている人が特定されている場合や、
 弱者同士で結束するときなどに用いられます。
 
  また、”相手が産出できない資源”について交渉を持ちかけるときは、
 ほぼ1:1での交渉が可能となりますので、ウィークポイントのあるプレイヤーを
 見極めることも大切です。
 特に羊は軽視される傾向にあり、羊無しのプレイヤーもよく見受けられます。
 自分で羊が余るようでしたら、こういうプレイヤーに売りつけるのも
 良い手段でしょう。


・おねだりをしよう

 よく1:1で何でも交渉を受けてしまう人を見かけますが、
 上手いプレイヤーほどおねだり上手です。
 「もう1枚、何かいだだけません?」って聞いてみてください。
 「余ってるカードでいいですよ」って付け加えてもいいです。
 このゲームで資源カードを持ってるってことは、
 絶対に損にはならないようになっています。
 (独占や盗賊で奪われない限りですが)
 1:1で交渉するくらいなら、おねだりしてみましょう。
 追加で1枚もらえたらラッキー。もらえなくて元々ですから。
 但し、その交渉が2:1で妥当だと思えたら、もっと強気に出てください。
 「鉄もつけてくれたらOKです」とか、
 「異なる資源カード3枚で受けます」なんて言ってもいいんじゃないでしょうか。

 同じおねだりでも、
 「まゆみ麦が欲しいの〜」
 ってのにはマイッタ!


・談合

 これを”交渉”と呼ぶかどうかは疑問が残る点ですが、
 次のターンにアガリが確定しそうなプレイヤーがいる場合、
 他の全員で潰しにかかることがあります。
 特にトップが道賞を持っていたりすると、全員の資源を対抗馬に
 なりそうなプレイヤー(基本的には、得点の一番低い人)に集めてみたり、
 自分の手番で港を利用して手札を木や土に変更し、
 対抗馬のプレイヤーの手番で全て渡してしまうといった行為です。
 順位戦でない限り、こうした行為がされることは珍しくありません。
 道賞を持ってるトッププレイヤーは、常にこういう攻撃に晒される危険性を
 覚悟しておかないといけませんね。
 尚、これは交渉ではなく談合ですので、そこには相場という概念は存在しません。
 どんなレートでのカード交換でも、上がり阻止が目的であれば合法かと私は思います。


・ダミー交渉

 手の内に麦2枚と鉄2枚があり、ここで鉄を入手して街を建てたいけれど、
 素直に「鉄ください」では断られるか、足元を見られます。
 これを避けるために使われるのが、ダミー交渉です。
 まず、現在レアになっている資源を確認します。
 土がレアになっているとしたら、
 「羊を出しますので、土をください」
 と持ちかけてみます。
 相手から「羊と麦なら出ます」なんて言われたらラッキーです。
 考えた振りをして断りましょう。
 無視されたら、どんな条件なら出るか聞いてみましょう。
 それで「どうしても出ません」って状態だったら、もう仕方がありません。
 ここで初めて、本来の交渉を持ちかけます。
 「羊を出しますので、鉄を下さい」
 これで他プレイヤーの反応を見ます。
 条件の吊り上げがあったら、妥協点を見つけて交渉をまとめます。
 こうしてやっと、街を建てることができました。

 このダミー交渉のポイントは、最初の提案を他プレイヤーに断らせるところにあります。
 相手の申し出を2回続けて断るのは気が引けるという、人間心理を刺激した交渉術となります。
 ここでのポイントは、自分がどうしてもこのターンに街を建てる必要があり、
 港を使って鉄に交換する資源も無い場合に使われます。
 
 この交渉は、モノポリーでたまに見かけられるダミー交渉をカタンに応用しております。
 ですので、熟練モノポリープレイヤーにはバレる公算が高いですね。
 また、老獪なプレイヤーもこういうのはすぐ見破ります。
 産出した資源をしっかり覚えていて、手札がどういう状態かを予測されたら、
 最初の交渉がダミーであることはすぐに気がつきますので。

 それと、くれぐれも最初の交渉をまとめないでくださいね。
 これは”最初の交渉で失敗する”ってのが土台になってますので。

 
 
まとめ

 交渉を上手くまとめることができるようになると、勝率がグッとアップします。
 交渉の方法について、こういうサイトにアップすることには
 実際抵抗があったのですが、墓場まで持っていくべきものでも無いなぁと思い、
 公開してしまうことにしました。
 ここを閲覧してる方のために少しでも役に立てばと思っております。

 また、モノポリーでは一番交渉を多く提案した人が大抵勝ちます。
 カタンではその常識は当てはまりませんが、交渉のオナーがいるのも確かです。
 それは特定の資源を産出できない人なんですが。
 こういう人と上手く絡んで有利な交渉ができれば、自分も開拓が
 どんどん進むようになりますし、交渉相手も発展することができます。
 少なくとも序盤〜中盤では、こうやってお互いに利益のある交渉をしていきませんと、
 ゲームを有利に進めることはできません。

 それから、ここでの交渉については4人プレイを想定して書いておりますので、
 3人でプレイする場合は、1:1の交渉がメインになり、2:1もありますが、
 3:1はまず見かけることは無いと思ってください。

 

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